さあ!ザリガニパーティー当日です!
いよいよ迎えたザリガニパーティー当日!
ご招待するグニラさんに喜んでもらえるのか、ワクワクしながらほんのり緊張感も漂います。
セッティングする小道具が色々あるので、忘れ物がないか細かくチェック。
荷物を車へ詰めこんで、いざ、パーティー会場を提供してくれるスタッフ宅へ出発です!
今回は、メインディッシュのザリガニの他に、スウェーデンの定番家庭料理「ヤンソンさんの誘惑」も作ってテーブルに並べます。
ガーデンサラダとパンを置くスペースもあけておきましょう。
オリジナルのザリガニイラストのランチョンマットを敷いて、その上に取り皿や紙ナプキン、各自のエプロンと、先日みんなで手作りした三角帽子などをセッティングしていきます。
天井からは「月の男」のハンギングデコレーションを吊るします。
「月の男」とは?
テーブルのセンターには透明ガラスの小ぶりの花器(ホルムガード 12cm クリア)に、ちょっとお花も生けましょう!
にぎやかではありながら涼しげでもある、夏っぽいテーブルセッティングができたのではないでしょうか!
スウェーデンではザリガニはあくまでも食材なのです
スウェーデンではザリガニを食べるために釣ることはあっても、それを飼う習慣はないそうです。
この日パーティーに集まったスタッフは全員女性で年齢は20代~40代でしたが、全員が自宅や教室でザリガニを飼った経験があると聞いて、グニラさんは驚いていました。
スウェーデン国内でもスウェーデンで捕れるザリガニは高級品だそうで、手頃なものとしてはトルコや中国からの冷凍の輸入品も多いそうです。
「最後にスウェーデンでザリガニパーティーに参加したのはおそらく30年くらいも前のことよ。娘たちも連れて行った時だったかしら。」と思い出すようにグニラさんは言います。
「夏の終わりに時期が限られたイベントだから、そのタイミングでスウェーデンにいないとなかなか参加する機会がないのよね。この「月の男」の顔を見たのも本当に久しぶり。これよ、まさにこれよ!」
と、とても懐かしそうに目を細めるグニラさんを前に、可能な限り本場に近づけたい!と頑張って飾りつけをして良かったなあと心から思えた私たちです。
スウェーデンの流儀でディルと一緒にザリガニを茹でましょう!
スウェーデン人はディルが大好き。
「ディルを使う料理も本当にたくさんあるのよ。私も庭で育てていたのがあったのだけど、今年は暑すぎるのかしらね、ダメになってしまって残念なの。」とグニラさん。
確かにスウェーデン料理のレシピにはかなりの頻度でディルが登場してきます。
日本人の感覚だと、ネギに相当するような立ち位置の食材なのかもしれません。
そういえば以前、ミッドサマーの頃にグニラさんのお宅のFIKAにお呼ばれした際、食卓の花瓶にディルの花が生けられていたことがあったのも思い出しました。
それはテーブルの上の大輪の花火のようで、夏のテーブルコーディネートの目を惹くアクセントになっていました。
日本で食用として馴染みがあるのは葉の部分ですが、スウェーデンでは夏になると、食用としてのディルの花も市場でたくさん売られるそうです。
ディルの花は葉よりも香りが強いそうで、ザリガニを茹でる時も、本場では葉ではなく花の部分をいくつも一緒に入れて茹でるのだそうです。
今回私たちも本当はそうしてみたかったのですが、どこのスーパーでも食用のディルの花は見つけることができず、唯一の希望はスタッフが自宅のプランターで育てているディルだったのですが、パーティーの日の朝、いざ摘み取ろうと庭に出たら、丸々と太った青虫に全て食べられてしまった後なのでした。。
せめて立派な蝶になっておくれ。涙
ザリガニはパーティースタイルで食べるのがスウェーデン流!
「基本的にザリガニはテーブルセッティングもしっかりして、ある程度の人数で集まってパーティースタイルで食べることが多いわね。」と教えてくれるグニラさん。
「8月になると、スーパーの一角にザリガニパーティー用のコーナーができてね、色々なパーティーグッズが並ぶのよ。それこそテーブルクロスからエプロン、紙ナプキン、紙皿、紙コップ、三角帽子、壁や天井から吊るすような飾りまで、それらが全部ザリガニの絵柄でとにかくにぎやかで派手なの。」
「夏の時期の風物詩とも言えるし、毎年これを楽しみにしている人たちも多いのよ。だから普段の食卓にザリガニが並んだり、デートでザリガニを食べに行く、とかはあまり聞かないかもしれないわね。そもそも食べ方も結構大胆だし、デートの時の食事としてはかなり難易度も高そうよね。」
「ああ、でもザリガニを一緒に楽しく食べられる人だったら結婚相手としてはいいかもしれないわね!緊張しなくてもいい相手だものね。」とお茶目に笑うグニラさんです。
ザリガニはとても美味しい!!
さてさて肝心のザリガニのお味はどうだったのでしょう?!
ザリガニは凝縮した旨味がたっぷりで、1匹から取れる身の量は少ないけれど、とても美味しい!!
見た目もそうですが、味もかなりエビに近く、身の密度はエビよりもっとみっちりしているような気がします。そして一緒に茹でたディルが風味づけとしてとてもよい仕事をしてくれています。ほんのり塩気にフレッシュなレモンを絞って、ジューシーでさっぱりして、ちょっと癖になる美味しさかもしれません。
みんなでワイワイ話しながら食べるからか、最初に感じていた「もしかして足りないかも?」という一抹の不安はまったくの杞憂で、お腹もいっぱいになりました。
ひとり10匹くらいは食べたのかしら。ザリガニパーティーって楽しいんですね!!
蚊なんてなんのその!記憶を上書きするほど美しいスウェーデンの夏
夏はとにかく美しく気持ちのいいイメージのあるスウェーデンですが、そこにもやはりあの夏の憎いヤツ、"蚊"は存在するそうです。
グニラさんによると、特に日本よりも数が少ないだとか、スウェーデンの蚊は刺されてもあまり痒くないだとか、スウェーデン人は日本人よりも刺されにくい、だとかもないみたいです。
水辺は特に蚊が多いわよね、なんてことを聞いてしまうと、あの澄んだ空と木々の緑と穏やかな湖、という幸せの風景がちょっと違う見え方をしてしまいそうです。
ですが、スウェーデンの人々は、それでもなんとか工夫を凝らして対策をして(スウェーデンにも色々な種類の虫除けグッズがあるそうです)、いちばん美しい季節を外で楽しむための努力を惜しまないんだそうです。
「やっぱり暗く寒い時期が長いから、多少大変だろうがなんだろうが、それでも外で過ごしたい!っていう、これはもうスウェーデン人の執念みたいなものかもしれないわよね、ある意味クレイジーよ!」とグニラさんは笑いながら教えてくれます。
それにきっと、スウェーデンの夏を外で過ごすという甘美な経験には、楽しかった素晴らしかった、という記憶だけを抽出していく効力があるのかもなあ、とも思うのです。
日本の夏では蒸し暑さと痒さのダブルパンチですが、スウェーデンの夏は心地いい太陽と風と眼福の光景が全てを上書きしてくれるのかもなあ、なんて思います。
ザリガニパーティーの後は、FIKAの時間です!
さあて、たっぷり堪能したザリガニパーティーの後はFIKAの時間です。
嬉しいことに、グニラさんが手作りのお菓子を持参してくださいました!
どうせならテーブルセッティングもチェンジして、気分新たにFIKAタイムへ突入しましょう。
さわやかなリネンのテーブルクロスを敷いて、大ぶりのガラス花器(ホルムガード 24cm ブルー)にゆったり長めにカットしたグリーンをわさっと生けましょう。
気分だけは木陰のFIKA。うん、涼しげで良し。
ザリガニパーティーでしょっぱいお腹が満ちた後、グニラさんの手作りお菓子の本格的なFIKAのおかげで甘いお腹も満ちて、幸福感でいっぱいです。
あっという間に数時間が過ぎてしまいます。いつも顔を合わせている仕事仲間ですが、パーティーという非日常の時間を過ごすことはとても新鮮で、会話も盛り上がりました。
ザリガニパーティーとFIKA。準備段階も含めワクワク感に溢れていて、とても楽しむことができました。
季節の風物詩として、もしかしたら私たちも夏の恒例行事にザリガニパーティーを取り入れてもよいかもしれない?!とまで思えるイベントでした。
素敵な時間に感謝をこめて。ごちそうさまでした!!
カレンダーにも描かれるほど、スウェーデンの8月はザリガニパーティーの月なのです
パーティーの日の夜、グニラさんからメッセージが。
「家に帰ってからカレンダーをめくったのよ。そうしたら偶然にも今月の絵がザリガニパーティーの絵だったわ!」というメッセージとともに、カレンダーの写真を添付してくれていました。(私たちのザリガニパーティーは8月1日に開催しました)
スウェーデンの湖畔。白樺の木陰でのザリガニパーティー。子どもたちが目の前の湖で釣りをしている様子まで描かれています。
本当にスウェーデンでは"8月と言えばザリガニパーティー!"なんですね。