飾って、しまうまで気持ちよく
女性職人も手がける鏡餅のための桐箱
飾るときは土台としてお餅を支え、
しまうときはやさしく包み込んでくれる。
三方となる桐箱は”ねこくら 木彫りの鏡餅”にとって欠かせない存在です。
手に取り箱を開けるたび、ふわりと広がる桐の優しい香り。
その香りもまた、新しい一年のはじまりをそっと知らせてくれているように思います。
今年の桐箱はより飾りやすく、そして収めやすい形にリニューアル。
家具づくりが盛んな広島県府中市・豊田産業株式会社さんで丁寧に作られた、
新しいかたちの桐箱についてご紹介します。

豊田産業さんのものづくり
広島県府中で1966年に創業した豊田産業さんは、「桐箱」という日本の伝統を今に受け継ぎながら、
暮らしの中に自然となじむ箱づくりを続けている木工メーカーです。
「桐箱という昔からある文化を絶やさないためにも、
お客様に満足し、安心して使っていただける製品づくりをしていきたい」
その言葉のとおり、ひとつひとつの箱に“安心して使ってもらいたい”という思いを込め、熱心にものづくりを続けられています。


手にするたびに感じる、やさしい手仕事
豊田産業さんの工房では、木目や質感を確かめながら、
外側にいちばん美しい面がくるよう、一枚一枚丁寧に桐材を選定しています。
桐は軽くやわらかい素材のため、加工の際に欠けが生じやすい難しさがありますが、
機械作業の工程ではスピードを落とし、刃の入り方ひとつにも細やかに気を配りながらカット。
さらに、仕上げの工程は、一つずつ職人によって手作業で行われています。
表面をなでるように触り、ざらつきが残らないように磨き上げて完成です。
手にした瞬間のすべすべとした手触り、箱を開けたときに広がる桐のやさしい香り。
どれも、ひとつひとつの丁寧な手仕事の積み重ねから生まれるものなのです。
暮らしに寄り添う、桐箱という文化
桐箱は昔から、「大切なものをしまう箱」として人々の暮らしのそばにありました。
桐材には湿気を防ぐ性質があるので、大切な鏡餅を長く、美しく守ってくれる安心感も魅力の一つです。
豊田産業さんの桐箱には、“ものを大切に扱う”という日本の美しい感性を感じ、飾るときにも、しまうときにも、手に触れた瞬間の安心感や香りが穏やかな時間をもたらしてくれます。
飾ったまま、そっとしまえる仕様にリニューアル
今年の”木彫りの鏡餅”の桐箱は、飾ったまま収納できるよう、より便利な形にリニューアル。
昨年は飾るときとしまうときで箱を組み替える必要がありましたが、今年はその手間を無くし、使わないお飾りや緩衝材は桐箱の中に収めた状態で飾ることができるようになりました。

「毎年飾るものだから、支度も片付けも気持ちよく」
そんな想いで改良された形です。
暮らしに根付く箱作りを長年実直に続けてこられた豊田産業さんだからこそ成せる仕上がりなのです。
おわりに
桐箱に包まれた鏡餅を手に取るたび、職人の丁寧な手仕事や桐の優しい香りに心がほっと和みます。
もう、すぐそこまで迫っている新しい年。
今年のお正月支度も、箱を開ける瞬間の小さな幸せをそっと感じていただけますように。

豊田産業株式会社
江戸時代から家具づくりが盛んな広島県府中市に拠点を構える木工品メーカー。桐の丸太問屋を経て、1966年より家具の内装づくりを始めました。桐を熟知し、府中家具で培われた高い木工技術で、細部にまでこだわった製品を作り続けています。
広島県府中市三郎丸町238
同社の木工所では繊細な手作業を得意とする女性職人が多く活躍しています。 tobicobaco
