「いかに飯をうまく食い、いかに酒をうまく呑むか」
そこに美味しいお米は欠かせない小さな島国とは思えないほど日本にはさまざまなカテゴリーの美味しいものが溢れていますが、食卓には今も変わらず、主食としてお米が出てきます。ずっと食べてきたからなのか、体が必要としているからなのか。毎日食べても飽きないのはなぜでしょうか。「今日、何食べようかな」疲れと時間に追われて準備が面倒な時も、栄養や健康よりも趣向や惰性に振り回される時でも、あれ食べたいこれ食べたいを考える時間は、なんとも幸せなひとときです。想像しただけで料理が出てきたらいいのにと思いながら渋々台所に向かう日も、手間のかかるものをゆっくり作りたい日も、変わりばんこに入れ替わるその日の気分に合わせて料理を進めていきます。暮らしの流れに組み込まれている「食べる」は生きるため。栄養を業務的に口に入れるだけでも成り立つのでしょう。それでも同じ「食べる」なら、身体も心も元気にしてくれる食材で、味や見た目はおいしく、食事の時間を楽しみたい。長谷園のものづくりのもとになっている「いかに飯をうまく食い、いかに酒をうまく呑むか」は死ぬまでそう思っていたいと思います。旅館のような美味しいごはんを家でも炊けると知ってから土鍋を使うようになりましたが、お腹が空いている時に炊飯器の長い炊き上がりを待ちたくないと思っていた自分にはぴったり。炊飯器の設置場所や、ついつい保温しっぱなしの電気代のことを考えても、炊飯器なしの生活が合っているようです。そしてこれだけ家電が進化しても、今でも炊飯器は「かまどや土鍋のような」炊き上がりを目指し、「おひつに入れたような」保温を目指しているといったキャッチコピーを電気屋さんで目にすると、「土鍋を使ってお米を炊く」ことは、「毎日美味しいご飯を食べたい」と思っている自分の正解にも辿りついているのだと思っています。かまどさんなら、ふっくらもちもち
日本のお米がもっとおいしい
見た目からもなんだか美味しく炊けそうなかまどさん。かまどさんで炊くと、日本のお米の良さが引き出されていると感じます。かまどさんの材料である伊賀の粗土はおひつのように呼吸するのでベタつかず、ちょうど良い水分量を保ったもちもちとした食感のご飯ができます。炊き上がりに蓋を開けると、つやつやでふかふかで。「ああ今回も美味しそう」って、単純に心が躍るというか、美味しそうなご飯を嬉しいと思える事に感謝したくなるというか、ご飯を楽しめている事に、自分のささやかな暮らしが満たされるような気持ちになります。お茶碗一杯のご飯が美味しいと、主菜も副菜も進み、日々の食事を充実させたくなり、身体をつくってくれる食事に興味を持って料理できる日が増えるように思います。自分自身で自分を豊かにしている体感に嬉しさを感じています。伊賀の土が 土鍋に良い理由
炊飯用の鍋を調べると土鍋に辿り着き、そして伊賀土の土鍋に辿り着きます。理由は伊賀の土にあります。昔、琵琶湖の底に沈んでいた伊賀市の土には、何百年も前に生息していた植物などが有機物として配合されています。この有機物は土鍋をつくる過程で、高温の焼き上げの中で発泡し、陶土の中は気泡だらけに。その気泡のおかげで、一度火の熱を蓄熱してから伝えるような構造を作り出し、一気に火を通すことで料理が美味しくなるのです。火からおろしても冷めにくく、弱火でコトコト煮込んでいるように、じっくりしっかり熱を伝えることもできます。強い火力で、一気に蓄えた熱でお米を炊き上げて、そのままじんわりあったかく蒸らすことができる。どんな鍋でもある程度美味しくお米を炊くことはできますが、この特徴を持っていて、土鍋にできるほどの耐火度を持っている日本の陶土は、伊賀の土だけなんだそう。つまり伊賀の土を使ってつくられた鍋にしか、お米をここまで美味しく炊くことができないのだと思います。鍋底に火がよく当たるようにカンナで削ったり、持ち手をつけたり、釉薬をつけるなどの工程は人の手でひとつひとつ丁寧に行われています。釉薬には遠赤外線効果の高いものを使用することで、お米の芯まで火が通り、ふっくらとしたご飯の炊き上がりをサポートしています。火にかけてから 30 分でおいしいご飯
かまどさん基本の炊き方
まずはボウルで優しくお米を研ぎ、4 ~ 5 回程度水が綺麗になるまで繰り返します。ザルにうつして 5 分、水をきります。そのあとお米に浸水させます。20 分ほどの浸水時間でしたら、かまどさんに入れて浸水させます。20 分以上の浸水は土鍋の特性上、割れやヒビが入りやすくなる原因になりますのでおすすめできませ ん。出かけている間に浸水させておきたいときなど 30 分以上浸けるときには、研いだボウルに戻して浸水して下さいね。お米をいれたらふたをセットします。ふたの付け方ですが、中ふたの穴の位置と、外ふたの穴の位置が直角になるようにすることで、お米にほどよい圧がかかるようにできています。何も考えずに忘れてセットした時も吹きこぼれることなく炊き上がりましたが、少しだけ時間がかかりました。直角にセット、ぜひ忘れずに。ふたがセットできたら火をつけていきます。色の違う底部分の半分くらいの高さに来るように中強火~強火 に設定します。3 合炊きは 13 分。消し忘れないようにタイマーをセットしておきますが、蓋の穴から煙がヒ ューっと出てくるのが 12 分頃。ぽっぽっと短い蒸気のあと、少しするとひゅ~っと勢いよく長めの蒸気が噴 き出してから 1 ~ 2 分後が火の消しどきです。3 合の規定の水量通りに入れればほぼ時間通りに炊き上がりますので、タイマー通りで問題ないと思いますが、蒸気の様子も見てみておくといいです。慣れてくると、だいたいお米よりも 1cm 位上にくるような水の入れ方をしたり、研いだ後に浸水した時間の長さやお米が吸った水の量でも炊き上がりの時間に多少のずれが出ることがあります。炊き込みご飯なども時間が変わってきますので、時間通りに炊けないかもしれないと思う時には、蒸気を頼りにタイミングをみることが大切です。炊き上がり火を切ったらそのまま 20 分蒸らします。つやつやでふかふかの炊き立てご飯の完成です!ご飯もおかずも美味しく作れる
色々使える万能鍋です
玄米ご飯におかゆやリゾット、お米をさまざまな方法で調理することができるだけでなく、鍋物、煮物にも使うことができます。ぜひご飯を炊く以外にも、鍋としてお使いください。3 合の大きさがあると常備菜や煮物に使いやすく、鍋なら 2 人前にちょうど良いサイズ感です。かまどさんならではの蓄熱効果で予熱調理がで きますよ。かまどさんの土鍋の内側には広めのふちがあります。内ふたが乗る場所なのですが、煮物や汁物をよそうときに水気を切りやすく、とてもすくいやすいです。ちなみに炊飯以外で使用するときには、内ふたは使わなくて大丈夫です。炊飯器がなくても気楽に、簡単に。
かまどさんは「火加減いらず、吹きこぼれなし」
「火加減いらず、吹きこぼれなし」って本当に気楽です。慣れは必要ですが、炊き方にコツなし。簡単です。誰でも上手に炊けると言うのは大袈裟ではないのです。これまでは火加減の調整を 1 回もしくは 2 回ほ ど。吹きこぼれそうな予感はするけれども、ちょっと覗くと水分の多さを見ればまだまだの様子。吹きこぼ れる手前に弱火にしようと見張るのに一瞬の隙に吹きこぼれ、ガスコンロと五徳を拭くことになるのです。 長年鍋でお米を炊いてきたので、これはもうつきもの、仕方のないことだと慣れっこでした。かまどさんは 火加減は強火だけ、強火だけなので炊き上がりまであっという間。なのに吹きこぼれないって凄いの一言。 炊飯専用に開発された土鍋ってこういうことなのかと納得です。火加減の調整と吹きこぼれから解放されて はじめて、あれはプチストレスだったと今になり思っています。なぜ「火加減なし、ふきこぼれなし」なのか
かまどさんの大きな特徴である二重のふた。丸みのある外ふたと、土鍋に密着する内ふたです。炊飯用の土 鍋はいくつもありますが、ふたが 2 つある土鍋は珍しいと思います。二重になっていることで圧力鍋の役割を 果たし、吹きこぼれを防いでくれる仕組みになっています。 底の直火が当たる土色の部分はとても分厚いつくりになっています。蓄熱と耐熱力のある伊賀の土だからできることですが、強火のまま火を当て続けることで、短い時間に熱をしっかり蓄えて、弱火でも中火でもない強火の火力を一気にお米に伝えてくれます。こちらが火加減を調整しなくとも、おいしいご飯が炊き上がるというわけです。