
FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。
*FIKAは日本語では"フィーカ"と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は"フィーキャ"の響きに近いです。

アップルFIKAで秋を味わいましょう

久しぶりにグニラさんのお宅へお邪魔したのは、10月の始め。
日本では秋のりんごのシーズンです。
今回はりんごを使った甘いものでFIKAをしましょう!ということで、とても楽しみ。
スウェーデンのりんごの話も色々とお聞きしてみたいです。

本日のFIKAのおともはりんごジャムのロールケーキ。
いつものようにホイップクリームはたっぷりと。

本当はミントの葉っぱを上に載せるんだけど、今日はなかったの、とちょっと残念そうなグニラさん。
いやいや、ミントがなくっても、ビジュアルの幸福度は満点です。
カップケーキとソフトクッキー、おかわり用のホイップクリームとりんごのスライスまで並んで、まさに幸せの光景。

さあさあコーヒーの準備もできました。FIKAを始めましょう。

スウェーデンでは庭のりんごでジャムを作ります
スウェーデンには街路にも公園にも個人の家の庭にも、りんごの木がたくさん植えられているそうです。
日本で言えば青森や長野のように、気候がりんごの木が育つのに向いているのでしょうね。
グニラさんのご実家の庭にも、何本もりんごの木が植えられていたそうです。しかも品種も数種類あったそう。
スウェーデンでは8月の終わりから9月の始めにかけてがりんごの実がなるシーズンで、その頃になるとグニラさんのお母さんは庭でFIKAや食事をする時に使うテーブルを出してきて、数名のお友達と一緒にりんごの木の下でジャム作りのための下準備作業をするのが恒例行事だったそう。
各自がピーラーを使って皮を剥き、適当な大きさに切ってテーブルの上に置いた鍋に入れ、それがいっぱいになったらお母さんはキッチンへ行き、鍋を火にかけます。
午前中から始まるこの作業は10時と15時のFIKAの時間を挟みながらのんびりとしたペースで進められ、たいてい数日間続いたそう。
こうしてできた大量のジャムやコンポートは瓶に入れて地下の貯蔵庫で保存していたとのこと。
そしてその後の一年間で、朝食のオートミールにかけたりしながら家族で消費していくのだそうです。まるで絵本の中の世界のような自給自足です。

これは数年前の写真だけれど、と言いながら、グニラさんがスマートフォンに入っていたご実家の様子を見せてくれました。
想像の上をいく素敵さで、思わず感嘆のため息が出てしまいます。

そしてこの可愛らしい小屋は案の定、ガーデンFIKA用の小屋だそうです!
私が子どもの頃はなかったんだけど、実家を引き継いだ兄の家族が30年くらい前に建てたのよ、とグニラさん。
夏から秋へ季節が移ろい始める、ちょと肌寒いかな、くらいの頃に庭を眺めながらこの小屋でFIKAするのはとてもいいのよ、と教えてくれます。
ええ、ええ、そうでしょうともそうでしょうとも!
よっちゃんとスウェーデンのりんごの思い出

カメラマンでもあるよっちゃんが、以前スウェーデンで撮影したという素晴らしい写真のプリントを何枚も持って来て見せてくれました。
その中になんと、グニラさんのご実家の庭のりんごの写真もあって、わあ!という声がみんなから上がります。
よっちゃんに、スウェーデンのりんごで何か思い出はありますか?と聞いてみると、思いもよらないエピソードが飛び出しました。
そんなにお金が潤沢にあるわけでなく常にお腹を空かせていた留学生時代のよっちゃんは、ある晩、同じような境遇の友人と連れ立って、こっそりりんごを穫りに行きました。
隠し持った袋がいっぱいになるほど、公園のりんごの木から実をもいで、これでしばらくは食いつなげると安堵していたよっちゃん。
次の朝、スウェーデン人の友人から、そのりんごはどうしたんだ?と聞かれたよっちゃんは返事に困りつつも正直に告白したところ、そんなことしなくたって、いつ穫って食べたっていいんだ、と教えられ、とても驚いたそうです。
スウェーデンではたくさんのりんごの木が公園樹としても街路樹としても植えられているので、そこにできた実は好きに穫って食べて良いのだとか。
なんとおおらかなんでしょう!
自慢できる話じゃないわよ、なんてグニラさんから突っ込まれていたよっちゃんでしたが、私はこのエピソード、なんとも微笑ましくて嫌いになれませんでした。

その後、学生時代を思い出したよっちゃんは、あの頃はカラオケもないしこうやってギターを弾ける奴の周りに集まってみんなで歌ったもんだよ、と懐かしみながら、ビートルズやボブディランを歌って聴かせてくれました。(ハーモニカまで!)
時折グニラさんも一緒に隣で口ずさむ光景は、ああきっと学生時代の二人もこんな風だったんだろうなあ、と少し目頭が熱くなるようでした。
いくつになっても結婚記念日を大切にする


なんとこの日はグニラさんとよっちゃんの結婚記念日でした。
ダイニングの窓辺には、結婚記念日には毎年欠かさずお互いに渡し合っているというメッセージカードが飾られていました。
とても素敵な決まりごと。ついつい忘れがちになってしまう結婚記念日を、こんな風に特別な日にできたら本当に素敵。お互いへの感謝と愛を感じます。
それから悲しい知らせもありました。
グニラ家のおだやかで優しい愛犬のミミちゃんがこの日の少し前に天寿を全うしました。
聡明で愛に溢れたミミの魂が安らかであることを心から願っています。

りんごのロールケーキの作り方
グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「りんごのロールケーキ」のレシピをご紹介。

りんごのロールケーキの材料
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りんごのロールケーキの作り方
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