
イースターはスウェーデン語では「ポスク(Påsk)」と呼ばれます。
2年前の春、私たちはグニラさんのお宅でセムラをいただきながら、スウェーデンのイースターのことを色々と教わりました。
グニラさんとのFIKAの時間「スウェーデンのイースターを祝う」 を読む
幸せの味だったセムラ。今回は自分たちでも作ってみよう!、そしてせっかくならば、スウェーデンのイースターを自分たちなりにお祝いしてみよう!ということで、実践編に挑戦です。
セムラの日:イースターの40日前の火曜日。2025年は3月4日の火曜日。
イースター:春分の日以降の最初の満月の次に来る日曜日で、年によって日づけが変わる移動祝日。
2025年のイースターは4月20日の日曜日です。
セムラはスウェーデンの「春の風物詩」

にセムラを載せて。
クチポールのホワイトゴールドとの相性も◎。
食卓に優しい気品が漂います。
イースター(復活祭)は、その名のとおりキリストの復活を祝う日で、キリスト教においてはクリスマスと同じくとても大切にされている日です。
キリスト教ではキリストが荒れ野でおこなった40日間の断食にちなみ、イースターの前に40日間の断食期間を設けていました。
この断食期間に突入する前に「栄養のある美味しいものでお腹をいっぱいにしておこう」という理由から、スウェーデンをはじめフィンランドやデンマークなどの北欧の国々でセムラ(呼び名や作り方は国によって異なります)を食べるようになったそうです。
そのため、セムラは「ごちそう」に位置づけされている食べものなのです。
このイースターの40日前の火曜日がスウェーデンでは「セムラの日」とされていて、スウェーデンの人々が一年で一番セムラを食べる日だそうです。
現在のスウェーデンでは実際に断食まで行うことはないようですが、セムラを食べるという楽しく美味しい習慣はしっかり定着したそうです。
大体クリスマスシーズンの終わり頃からイースターまでがセムラの季節とされていて、この時期以外ではセムラを買うことはほとんどできないそうで、それほど季節限定のスイーツなのですね。
セムラが春の風物詩と言われているのにも納得です。
日本だと、店先にピンク色の桜モチーフのお菓子が色々登場してくると春を感じ始めるのとどこか似ているような気もします。
イースターの魔女に扮して気分を上げて
スウェーデンではイースターの前に、子どもたちが頭にスカーフを巻き魔女に仮装して近所を練り歩いてお菓子をもらうという、まるでハロウィンのトリックオアトリートのような風習があるのだと、以前グニラさんから教えてもらいました。
今回は私たちも、イースター気分を上げるために魔女に扮してみました。
子どもじゃないし、頭にスカーフを巻いただけですが・・、でもそれでもちゃんと気分は上がっちゃうから不思議!

みんなをメロメロにさせるというオマケつき。
目にも鮮やかなポスクリースも用意して
スウェーデンでイースターの時期には必ず飾られるという、白樺の枝にカラフルな羽根飾りをたくさんつけた「ポスクリース」も見よう見真似で作ってみました。
いつもの近所のお花屋さんで白樺の枝は入手できなかったので、代わりに雪柳の枝を使ってみました。
羽根を枝につけるのにちょっと手こずりましたが、なかなか華やかに仕上がったのではないでしょうか。
テーブルのセンターに置いて、一気にパーティー感が増した気がします。
黄色はスウェーデンのイースターのシンボルカラー
とにかく黄色がポスクのシンボルカラー。ポスクを象徴すると言われている花も黄色の水仙(ポスクリリア)です。
今回は、黄色い水仙、フリージア、黄色のラナンキュラス、差し色として赤いチューリップを用意してみました。
いくつかの花器に分けて飾りつければ、それだけでもう部屋の中に優しい春が訪れます。

春らしい優しい色合いのウサギと鳥の
Sotlight アートポスターにも花々を添えて。
主役は鳥。スウェーデンのイースターの飾りつけ
スウェーデンのイースター飾りはウサギよりもニワトリが主役。
再生を象徴する卵や、シンボルカラーの黄色いヒヨコも含め、街なかはとにかく鳥モチーフの飾りで溢れるんだそうです。
今回はスタッフヨシダが自宅にあった大きめのニワトリの型を使ってクッキーを焼いてきてくれました。可愛さも食べごたえも満点!
スウェーデン出身のデザイナー、リサ・ラーソンの猫のオブジェも一緒にポスクに参加してもらっちゃいましょう。
お子さまと一緒に作っても楽しい!イースターエッグの作り方
まず、お好きなだけゆで卵を作っておきます。
卵がしっかり冷めてから、クレヨンで絵を描いていきます。(クレヨンは体に入っても安全な素材のものを選ぶのがオススメです)

クレヨンを見つけ、思わず買ってしまいました。
複雑な絵柄よりもシンプルな絵柄の方が仕上がりが綺麗になりやすいので、お子さまにも自由に楽しく描いてもらえます。
色付けしたい色数の分だけジッパー付きポリ袋を用意して、それぞれに卵がかぶる程度のぬるま湯を入れ、大さじ1杯程度のお酢と、フードカラーなどの食用色素を入れます。(食用色素の入れる量は卵の色付きを見ながら調節してください)
卵を入れて、袋の中で優しく転がします。
結構すぐに色が付くので、様子を見て袋から取り出し、キッチンペーパーなどの上で乾かします。
色付いた卵の上にクレヨンの油分で絵柄が浮き出るような見た目になって、グッとテンションが上がりますよ。
一日楽しく飾ったあとは、美味しく食べてくださいね。
セムラの作り方
今回私たちは、色々なお菓子を紹介するNHKの人気番組「グレーテルのかまど」のレシピと、以前グニラさんに教わったレシピを合わせ、グニラさんから学んできた "自由に気楽に楽しみながら" のマインドを胸に、私たちなりのセムラを作ってみました。
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まずはパンを作ります。
強力粉とカルダモンパウダーは、合わせてふるっておきます。
オーブンを220℃で予熱しておきます。
ボウルにパンの材料全てを入れて混ぜ合わせます。
台に少量の強力粉を振り、その上でパン生地をよく揉みこみながら叩きつけ、5分くらいこねます。
薄く油を塗ったボウルに生地を入れ、1時間発酵させます。(2倍くらいの大きさになります)
生地を8等分して丸めます。
乾燥しないようにラップをかけて、常温で15分おきます。

調理スイッチがしっかりONに!
生地を台の上で転がしながらガスを抜き、丸めなおします。
油をひいたオーブンプレートに、とじ目を下にして生地を乗せ、40分発酵させます。
また少し膨らんで大きくなった生地の表面に卵黄を塗り、220℃に温めておいたオーブンで10分焼きます。
パンを焼いている間に、ボウルに生クリームと粉砂糖を入れ、氷水をあててよく泡立てておきます。

わあ!こんがり上手に焼けました!美味しそうないい匂い!
パンが焼けたら、てっぺんの部分を少し切り取り(最後にまた上に載せます)、中身を少しくり抜きます(くり抜いた中身は美味しくつまみ食いします)。
くり抜いた部分に、アーモンドペーストを詰めます。
その上にたっぷりとホイップクリームを載せます。
切り取ったてっぺんの部分を帽子のように上に載せ、粉砂糖の魔法をかけたら完成!
出来たてのセムラを頬張る幸せなFIKA
さあ!イースターFIKAを始めましょう!
部屋の中には甘い匂いがたちこめて、お腹がグウグウ鳴ってしまいます。
なんていう幸せな見た目なんでしょう。
各自のお皿にセムラが配られて、見回せばみんなが笑顔です。
ナイフとフォークで上品に食べるのもアリなようですが、ここは思いっきりかぶりついてしまいましょう!
シュークリームやマリトッツォと似た見た目ではありますが、味わいはまた別ものです。
焼きたてがブリオッシュのようにも見えたパンの部分は、カルダモンがふわっと効いているのが感じられて、優しい甘さでとても美味しい!
たっぷり入れたアーモンドペーストは控えめな甘さが香ばしくてうっとり。
スウェーデンの伝統に沿うならば、使うべきなのはもちろんアーモンドペーストなのでしょうけれど、日本ではもっと手に入れやすいピーナッツペーストやピーナッツクリーム(甘さ控えめのものの方がベター)を使っても美味しく作れそうな気がしました。
千葉県に会社の所在地がある私たちとしては、ピーナッツを推したい気持ちがどうしてもうずいてしまいました。
今回はスケジュールが合わず参加してもらうことが叶わなかったグニラさんに、この日の様子をメールしたところ、素晴らしい!最高じゃない!、とのお褒めの言葉をいただきました。
グニラさんとの接点からスウェーデンのことを教わるようになり、自分たちなりにスウェーデンの文化を取り入れてみよう、と時々企画している実践編。
私たちなりのスウェーデン流のイースターFIKAは、やわらかい春色と甘い匂いに包まれた、なんとも幸せな時間でした。